鶏むね肉を安全かつ美味しく食べるシンプルな方法

料理のレシピは沢山ありますが、1つの食材に対して最低限これだけやっておけば安全に美味しく食べれるよねってことがわかれば、レシピを見ずともその食材を料理できるし、アレンジだって可能です。

この記事を読むことが、あらゆる鶏むね肉料理をするときの失敗を避け、安全に美味しく食べれる手助けになれれば最高です。

必要なのは「75度1分間の加熱」と「塩分濃度0.9%」、「必要以上に加熱しない」こと

安全に食べるには、「肉全体の温度を75度まで上げ、1分間キープすること」

美味しくするには、「塩分濃度を0.9%前後にすること」、「必要以上に加熱しないこと」

です。それぞれ理由を説明します。

使う道具

加熱に使うのはガスコンロでもIHでも、オーブン、電子レンジ、など何でもいいです。

もう一つ必要なのが温度計。目で見たり触っただけでは、75℃に達しているか正確な判断はできないので、温度計を使うと確実です。

安全に食べるために

生では安全に食べれない理由

鶏むね肉にはカンピロバクターやサルモネラといった、食中毒の原因菌が付着してます。

これらの菌を食べてしまうと、菌の数と食べた人の状態(年齢、体調etc)によって、食中毒の症状が出ます。最悪死に至る。

そのため、食べても安全な量まで菌の数を減らす必要があります。

※理想はゼロだが、証明が難しいため限りなくゼロに近づける

菌を減らす条件

食中毒の原因菌は高温に弱く、十分な温度と時間で加熱すれば、安全なところまで数を減らせます。

原因菌は数種類いますが、中でも一番熱に強い種類を殺菌できれば、他の菌もおのずと対策できます。

鶏肉に付着している菌の中で最も熱に強いのがサルモネラ菌や腸管出血性大腸菌O157。

彼らは75℃1分間の加熱で安全な数まで減らせます。(注:もともと食材がひどく汚染されている場合を除く)

大量調理施設衛生管理マニュアルⅡ-2にも書かれています。

加熱調理食品は、別添2に従い、中心部温度計を用いるなどにより、中心部が75°C

で1分間以上(二枚貝等ノロウイルス汚染のおそれのある食品の場合は85~90°Cで

90秒間以上)又はこれと同等以上まで加熱されていることを確認するとともに、温度

と時間の記録を行うこと。

大量調理施設衛生管理マニュアル

肉の中心温度を測る理由

温度を測るときに注意すべきは、肉の中心の温度を測ること。

お肉が加熱されると、表面の温度が先に上がっていき、少しずつ内側に熱が伝わっていきます。そのため、肉の最も分厚い部分の中心が、最も温度上昇が遅いです。

なので、食材に刺しこめる温度計を使い、肉の中心温度が75℃になっているか確認しましょう。私が使ってるのは以下の温度計です。

dretec(ドリテック) クッキング温度計 料理用 デジタル 防滴 レッド O-274IV アイボリー

茹でたり焼く時間は意外と長い

必要な加熱時間は

肉の中心が75℃になるまでの時間 + 1分

です。

75度のお湯に鶏むね肉を入れて1分待っても、十分な殺菌はされません。中心温度が上がるには肉が厚ければ厚いだけ時間がかかります。

これは1800℃のバーナーを使っても同じこと。しゃぶしゃぶのように薄く切るなど工夫をしなければ、合計の加熱時間は1分以上かかります。

安全のために必要な処理は以上。次はおいしくするためのお話し

美味しく食べるために

肉の重さに対して0.9%の塩を加える

人は塩分濃度0.9%の食べ物を美味しく感じる傾向にあるそうです。(甘いものは別)

人それぞれ遺伝的な味覚の違い、普段の食生活やその時の体調などによって美味しいと感じる塩分濃度が変わりますが、0.9%前後ならそこそこ美味しいと感じられるかと

私は肉の重さを計り、それに対して0.8〜1%の重さの塩を加えてます。

例) 鶏胸肉300gなら、2.7gの塩を加える。

この数字を覚えておくと、初めて作る料理や、良さげなレシピが見つからないときも、食材の重さから加える塩の量を決められるので便利です。

醤油など他の調味料で味付けする時も、パッケージに書かれている塩分相当量から入れる量を計算できます。

塩が肉に染み込むまで待つ

肉の表面に塩をつけても、中心まで浸透するにはなかなか時間がかかります。

だいたい1日から2日置いておきたいです。

時間がなければ30分くらいでも、それなりの出来になります。

必要以上に加熱しない

基本的に肉は加熱する温度が高いほど固くなり、水分や油分が流れ出ます。

これは温度が上がると、肉を構成するタンパク質が縮んでしまうためです。

なので、安全に食べるため75℃1分の加熱はしますが、それ以上高い温度にしないほうが柔らかい仕上がりになります。

※肉を構成するタンパク質にも種類があり、コラーゲンを多く含む肉はこれに当てはまらないので注意。

75℃1分と同等の加熱、、、とは?

先ほどの集団調理施設衛生管理マニュアルに、「75℃1分又は同等の加熱」と書かれてます。

75度より低い温度でも、加熱する時間を伸ばすことで、同じくらい菌の数を減らすことができます。

例) 中心温度63度で30分

低温長時間の加熱にすれば、安全でありながら、よりタンパク質が縮むのを防ぎ、柔らかく仕上げることが可能です。

ただし、コンロやレンジでこれをやろうとすると、温度を計りながら火加減を常に調節する必要があるので、専用の器具(低温料理器)がないと、低温長時間の加熱は難しいです。

てなわけで、今回は火加減の手間が少ない中心温度75℃1分の加熱を紹介したわけです。

参考

エンジニアのメソッド

大量調理施設衛生管理マニュアル

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